![]() むせ返るような花の匂いに思考は塗りつぶされて、何もわからなくなる。 この感覚は、何かがおかしい ――そう思っても、どうすることもできない。 「……どう、しよう」 耳のすぐ側で響いたアサトの声は掠れて、戸惑いながら空気に溶けていく。 せわしなく交わされる吐息がどちらのものか、すでにわからなくなっていた。 互いの手の中にある熱は、微細な指の動きも刺激として受け止め、あるいは伝えていく。 異様な鼓動の速さや緊張も、きっと伝わってしまっているのだろう。 手のひらをこするようにぎこちなく動かすと、 アサトが、く、と息をつめて肩を揺らした。 感じたのか――そう思って奇妙な高揚を覚える。 だが、すぐに同じようにされてコノエは瞼を伏せ、震える息を吐き出した。 腰の奥から甘い疼きが湧き上がってくる。 |
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